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発想の常勝無敗「平穏世代の韋駄天達」
2021/11/16

2000年代半ばからインターネット上で、漫画を投稿する人達が増えてきた。基本的には、自分のホームページに自作の漫画を投稿する形だったが、そこから漫画投稿サイトが出来てくる。その中でも「新都社」は初期WEB漫画業界を牽引していた。ここから、プロ漫画家となっていく人たちが排出されるわけだが、
とりわけネームバリューが大きいのは「天原(サークル天原帝国)」さんだろう。

彼の作品、アニメ化の際に界隈を騒がせた「異種族レビュアーズ」や、もはやジャンルにまで拡大しつつある「貞操逆転世界」は有名だろう。
そんな彼の「新都社」のWeb漫画「平穏世代の韋駄天達」は本当に面白い。

そのお話の設定は、韋駄天と呼ばれる存在が魔物たちと戦いを繰り広げ、一人の韋駄天を残し、悪魔との戦いを終結させたところから「八百年後」から始まる。
基本構成そのものは「ゆとり」世代ともいっていい神さま連中が、魔物復活を阻止しようとする話なのだが、そんなに簡単に話は進まない。

まず、主人公たちが、天才的に強い血統だが弱いという理屈、すなわち八百年間魔物との戦争がなく、平和・平穏に暮らしているという理屈がキチンとしており、また魔物側が今まで、正体を表さなかった理由付けも納得がいくものになっている。
特に、魔物サイドの陣営の人間味というか、リアリティが素晴らしく、彼らには彼らの行動原理が存在していて、物語内で昇華されている。
物語内リアリティの面でも精神的描写の上手さや言葉選びの巧みさなど本当に素晴らしい。
強さを求める事を主題においた師範が、知識欲に溺れる弟子に対しての感情のあり方などコメディとしても緩急の付け方が上手い。

ストーリー全体の発想力が抜きん出ており、たとえば「神」というものと「韋駄天」は違うのだが、その類似性を利用して、ある作戦を企てた話など、絵的な説得力が見事だった。
王道路線を基本軸に、あらゆる要素をごった煮にしたような、カオスなストーリー展開も素晴らしい。

ただ、多くのWEB漫画がそうであるように、いつのまにか更新が停止し「天原」さんが、商業デビューをされ、完結することはないように思えた。
しかし内容を再構成し、原作者として天原さん、作画としてクール教信者さんが担当し『ヤングアニマル』より連載を開始された。
クール教信者さんはあの頃の「新都社」で売れたWeb漫画作家なので、このタッグは面白いものがある。(反面、心配にもなったが)

そうして、長い年月を経て、この夏にめでたく、アニメ化も決定した。あの頃の「新都社」を追いかけた人々はぜひ思い出に浸りながら、書籍版を、まだ読んでいないなら、Web版からで良いからぜひ読んで欲しい。

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