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地下室の手記 引きこもるに足る自己嫌悪
2022/5/9

ロシア情勢が問題になっている。昨今の政治情勢は難しく、誰が正しいかなんて簡単には判断しかねるが、それによってロシアそのものやロシア文学に対して敵視するのは馬鹿馬鹿しい話だ。敵性語なんて言葉は昨今では流行らない。流行らせたくない。

 

そこで、せっかくなので、ロシア文学から名作を紹介しよう。
「地下室の手記」かの有名な「ドストエフスキー」の著作だ。

 

内容は40歳の元役人の男の手記で、ペテルブルグの地下室で、20年間近く引きこもっている。社会にうまく適応できなかった理由を、過去の自身の行動と共にウジウジと記している。ただただ、神経質で根暗で、プライドが高い男で、十分に病んでいる。読んでいてかなり共感性羞恥心を刺激されるタイプの本だ。

 

物語自体は過去の後悔を綴っている形式で、一人相撲の極地のようなどうしようもない言動の数々どうしようも無い。

 

その中でも特に強烈なエピソードは、今風に言えば「風俗説教おじさん」だ。おじさんと言うには彼は比較的若いが、それでもやっている事は、風俗での出会いをロマンチックなものとして、説教を垂れながら上から目線で同情的に振る舞い、金のない小役人である自分自身をよく見せようと数段棚に上げた状態で取り繕う。その後、みすぼらしい生活の中で、彼女と再会してしまい、恥ずかしさのあまり、自身の愚かしさを逆ギレでぶち撒け、ドン引きされる。

 

それが20年近く経っても忘れられない経験になり、今でもトラウマとして残っているというエピソードだ。(ちなみに行為に及んだ後に、説教をし始めるクズっぷりだ)

 

客観的には本当に虚栄心が大きな情けない男の話なのだが、徹底的にどん底に落ちていく自意識過剰さと尊大な羞恥心は、ジクジクと膿をたてる。その様をかなり文學的に仕上げてはいる。この光景こそ、人嫌いの極にあると言える。まあ、その対極にあるのもまた、強き指導者の人嫌いだとも言えるのかもしれないが。

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