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ハリー・ポッターシリーズ 「差別」こそが最高スパイス!
2022/5/20

全世界で最も読まれた本は50億部以上のヒットを飛ばした「聖書」シリーズ(正典・外典・偽典含む)だとされているが、では「小説」ではなんだろうか?

答えは「ハリー・ポッター」シリーズで、約4億部以上の売上だとされている。

 

聖パウロは印税を受け取っていないので、結果的に最も稼いだ作家は本シリーズの作者J・K・ローリングになる。彼女の一癖も二癖もある発言やSNSでの立ち振る舞いは記憶に残っているのではないだろうか?

 

さて、そんな本作品シリーズの魅力は広く知られたいるだろうし、映画版は金曜日に腐るほど見た諸兄も多いだろう。異世界ではなく、現実のほんの少し隣にある魔法の世界。子供時代に憧れて、家の郵便受けにふくろうが手紙を運んでこないか、夢に見た人もいるだろう。

 

そんな本作で、あえて個人的に語りたいポイントは「差別」の描写だ。

 

これは大きく分けて二つポイントがあり、魔法使い優勢主義の「純血・マグル」論争とホグワーツでの「寮」の問題だ。この描写は現実の階層社会と人種問題に密接にリンクしている。純血という考え方は、ヨーロッパで白人優生思想とそこからの迫害の歴史が思い起こされる。この設定は悪として描かれる要素でもありながら、同時に所属コミュニティのシンボルでもある。

 

そんなセンシティブで、難しいテーマが主人公に感情移入させる手段として見事に機能している。主人公のハリーは魔法使いとしては優れた血統であり、歴史的名家である。それでいて、マグルの家で育ち、入学寸前まで自分が魔法使いだと知らされていなかった。これはある意味、奇襲流離での貴族の血を引くものとしての立ち振る舞いとその恩恵を感じられ、選ばれし者のとしての愉悦を味わえる。ただし他者を見下すだけの立場ではなく、あくまでそれを否定し平等を重視する立場をとるというのがニクイ点だ。

 

自身が差別される対象ではない立場から、守る側の立場をとるからこその快感がある。これは金銭面や立場・才能的な側面でも、選ばれた側の人間を追体験し、差別を反対する立場を貫くからこその役割・ロールが存在する。これが、主人公ハリーポッターの視点だ。

 

敵役に差別させているが、本質はエリートの喜びを味わいつつも、他者を認める立場に自身を置くことにある。物語の構造として、確立した喜びは確かにあるだろう。また現実での学校での立場・スクールカーストとリンクされた「寮」という制度でも表現される。スリザリンのエリート階級の憎しみと、自身は正義だと自認する環境、レイブンクローの知識階級の描写、あえて優しさと描写したハッフルパフの階級、これらは現実のスクールカースト描写を如実に表しながら、物語に仕組みに根強く影響を表している。

 

スリザリンというわかりやすいエリート層とは敵対としながら、知性階級であるレイブンクローと一見落ちこぼれのように見えるハッフルパフとも違う立場、この立ち位置は実に巧妙だ。グリフィンドールという寮は現実の学校で例えると、スポーツが上手く、人気者の「ジョック」グループの思想が色濃く見られてる。それでいながらあくまで視点は、魔法界について無知な少年の立場である……この絶妙な視点の塩梅が、世界中の子供達を魅了するのだろう。

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